187 大人の階段のぼる~教科横断型授業~

この日は、コーヒーの科学~大人の階段を登ろう~と題して、理科と公民の先生がコラボして授業を行いました。

大人の階段登ろう!と始まったこの授業、公民のK先生は「君たちコーヒーは好きかな?」と語り始めました。ブラックコーヒーを飲める生徒はこのクラスにはいませんでした。理科のT先生が1967年に日本初のフリーズドライ製法を取り入れて発売したネスカフェゴールドブレンドの広告で使い続けているスローガン「違いがわかる人(男)」のコマーシャル映像を流し、君たちはこの違いがわかるかについて授業が始まりました。

実際にお湯をビーカーで沸かし、2種類のコーヒーをペーパードリップで淹れて味比べをしました。コーヒーを淹れる作業は、化学基礎の混合物の分離における「抽出」の操作そのものであり、1年次に既習した内容の実践となります。また、生徒たちはコーヒーをドリップでつくるのも初めてだったので、戸惑いながらも楽しそうにつくっていました。飲んでみると「苦い、まずい…」などと言っていましたが、先生が「よく味を感じてほしい」と告げると、「少し酸っぱい感じがする」などと言う声がちらほら…。次に、別のコーヒーで同じようにコーヒーを淹れて飲んだところ、次は「さっきより苦い感じがする、こちらの方が好きかな、いやさっきの方がいい…」などと2種類のコーヒーの違い、酸味と苦味を感じたようでした。

T先生は、スライドの括弧内に入る言葉を考えさせました。コーヒーを淹れる際に必要なコーヒーの生豆は緑色をしており、酸味も苦味もありませんが、生豆の焙煎によってコーヒーの酸化が早まり、その焙煎度合いによってコーヒーの味は酸味や苦味などが複雑に絡み合って大きく変化します。焙煎では、糖とアミノ酸が化学反応を起こしてメラノイジンができるメイラード反応が起こり、メラノイジンができると、焦げ茶色になる、香ばしい香りがする、うまみが強くなる、などの変化が起こります。メイラード反応は、起こる時間が長くなればなるほど甘さや香りがでて、短いと酸味がでます。最初のコーヒーの酸味の原因は焙煎時間が短い浅煎りであったことであり、2番目はその逆で、焙煎時間の長い深煎りのコーヒー豆だったということがわかりました。

また、コーヒー抽出実験のあと公民のK先生は、地理の視点からコーヒー生産について説明したり、セブンイレブンのコーヒーとスターバックスコーヒーの価格の違いから両社のビジネスモデルの考察や、サステナビリティの視点からコーヒーを取り巻く人権問題・環境問題に言及したりと幅広く解説していました。K先生は授業を通して、ある事象が生じる背景や原因、利害関係者を想像し、様々な視点から理解を深め、考えることの重要性を伝えたかったようです。 楽しい中にも、生き方にまつわる内容がたくさんあった授業。卒業間近の生徒たちは、希望を持って一歩ずつ大人の階段を登ってくれることを確信できました。楽しい授業をありがとうございました。

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